著者の罠を回避して、テクニックのいいとこ取りをしよう!「面白いストーリーの作り方 お悩み回答編」

「大どんでん返し創作法」を読んでいるのが前提になっている記述が
数カ所ありますが、そこそこの良書です。

しかし、相変わらず大げさすぎて誤用一歩手前の文章があるなど、
危うい感じもあります。
(「ご推察の通りです」でいいところを「ご賢察の通りです」と書いていますが、
へりくだりすぎていて、逆に相手を馬鹿にしているようにも取れてしまう)

しかし教えている技法自体には間違いは無く、
また「大どんでん返し創作法」に比べると例が具体的であるため
こちらの方が分かりやすい可能性もあります。


「ストーリーに突然の出来事を加えることで先の展開を予想できなくする」技法
ツイスト。
一昔前の漫画家が多用していた技法でもあります。
(最近の映画や漫画はそもそも伏線を張っていないものもあるので、
ツイストという技法自体、登場する機会が無かったりする)


「ヒントの直後にツイストして、伏線を隠す」と言われてもピンと来ませんが

決定的なヒントを出した直後に
『突然銃声が鳴り響く』とか(中略)
ツイストを起こして、
語り手の視点をそちらに移動させる技



この解説と例の出し方はお見事でした。

現代の読み手が銃声程度で気を取られてくれるかは別として
「技法の使い方が分からない」という悩みに的確に答えています。
「大どんでん返し創作法」ではここまで分かりやすい例はありませんでした。


中盤~終盤では「登場人物にはとにかく苦労させろ」とあります。
具体的な苦労のさせ方と、その結果も載っています。

また、スーパーマン的存在「最初からレベル100」みたいな強さの人は
どうやって苦労させれば良いのか、
何を変化させれば物語として味があるものになるのかといったことが語られており
プロの作品とアマチュアの作品の決定的な違いについて
ズバズバと切り込んでいる感じがしました。


仮想敵が存在しない「青春小説」の書き方のアドバイスもあり
扱っている話題が広く浅いわりには意外と参考になるので、
この本もかなりコスパが良いです。




ただ、初心者向けではない、調子が良すぎる記述もいくつかありました。
これを私は「著者の罠」と解釈しました。
そういった記述を鵜呑みにしないよう気を付ければ、
この本は「Kindleの安い本」の壁を軽く突破している
「すごく安くて分かりやすい本」になると思います。


「ディティール(細部)」を書き込め、とありますが、
そのディティールを書き込みすぎたせいで読まれていない小説や漫画は
プロの作品でも溢れかえっています。


「自分の言いたいことよりも、読者の読んでみたいことを優先して書く」
これもその通りですが具体的な対策が記載されていませんでした。
著者の気分転換法が載っていただけでした。

この本を薦めているレビュアーとして、
自分の使っている方法で本の欠点をフォローしておきます。

私はアマチュアですが、この方法を使うことで
読者に最後まで話を読んでもらえたことは何度もあります。

「自分の言いたいことよりも、読者の読んでみたいことを優先して書く」為には
自分の作品に対する評価を分析し、
人気のキャラクターを中心に話を進めつつ、そのキャラに読者が釘付けになっている間に
伏線をこっそりと張っておくとか、そういった方法が具体的です。
人気のキャラの見つけ方は、友人・知人(オフラインか、非公開状態)に
先に読んでもらい、その中で「話題に上った回数が多いキャラ」です。
「好き、かっこいい(かわいい)と言ってもらったキャラ」ではありません。
(感想で話題に上りやすいキャラは、
キャラとしては人気が無くても常に注目されている「物語の人気者」なのです)
…以上です。

ネットを使って商売することまで勧めているのに、
自分の作品の分析のやり方を教えていないのは妙です。

こんな、素人(アマチュア)が既に思いついていて
実際に使っており、成功も体感している方法を「物語デザイナー」が
思いつかないはずがないので、著者の気分転換方法に話が逸れていったのは、
技術の解説の出し惜しみと感じます。

これは「大どんでん返し創作法」でも見られた傾向で、
「こうすれば必ず面白くなる」と書いていますが、
実際には「味付け」が上手くないとそうはなりません。
「大どんでん返し創作法」よりは味付けのやり方を教えてくれていますが、
この本も重要なところでは著者が逃げ腰なので、
そこに注意して読んだ方が良いでしょう。
でないと、この本を読んで良い気分になって執筆に取りかかっても、
恐らくまたつまづいてしまいます。


極めつけはこれです。

もし文章を書くのが好きで、
ハードな取材はしたくないが、
将来書くことで生きていきたいという都合のよい希望(笑)を
持っているのなら……。
むしろ割り切って「読んで面白いオリジナル商品」を
一刻も早くたくさん作ることに徹底しましょう



これは最悪のアドバイスです。

創作物の世界から学んだことだけで創作しても、物語は絶対に地に足が付かない。
「体感せよ」という記述がこの本には一言も無いのです。

モバイル端末がメモ帳にもなる現代こそ、
「取材しながら創作をする」絶好の機会であるのに、
これからの作者たちに「自分の世界に引きこもれ」とアドバイスしている。
(どこででも創作をできる、という記述はありましたが、
わざわざスーパーのチラシの裏(最近は裏が白いものなんて見かけない)を
例に挙げたり、やはり不自然なのです)

確かに、本気を出して制作に取りかかるときは
目一杯、自分の世界に引きこもって、どっぷり浸かる必要があります。
しかし著者が勧めるとおりに引きこもり続けているとあっという間にネタが尽き、
オリジナルのネタなんてなくなってしまいます。

ここも私の例で補っておきます。
スーパーに行った。3日連続キャベツが無かった。
→しょうがないな(普通の思考回路)
→まさか、私の家族に旨い料理を食べさせないようにしている
  秘密組織でもあるのか!?(ネタ収集中のとあるアマチュアの思考回路)

2番目の思考回路により早く到達する方法は、
引きこもって創作を続け、ネタが無いと悩むことではなく
さっさとスーパーまで行ってとっとと新鮮なネタを仕入れることです。

キャベツがあっても「もしキャベツが無かったら…」と想像することで
ネタを仕入れられます。ネタを思いつくためには外部からの刺激が必要です。
ネタの収集=ハード取材(日常生活と創作の両立)です。
取材なしに創作物が出来上がる、なんていう都合の良いことはないのです。
それがたとえ、空想の世界の小説や漫画だったとしても。

これは、先人達が散々アドバイスしてきたことなのに、何故かそういった記述が無い。
本当に、著者が作家としてこの本の読者を成長させたいのなら、
「聞き飽きているでしょうけど」とこういった記述を付け加えるべきでした。

「登場人物に苦労させろ」と強調していることからも、
創作に「ハードな取材」が付き物なのは著者は本当は分かっているはず
です。
おそらく、とっつきやすい本になるように
意図的に話題を回避しているのでしょうが、話題の逸らし方が少々悪趣味です。

こういった「調子の良すぎる記述」をうまくかわすことが出来れば、
この本に書いてあるテクは創作作品のレベルを一足飛びに上げてくれる可能性があります。
相変わらず、そういうところは究極のコスパです。

この本に「乗せられない」つもりで買うなら、お得です。
乗せられてしまったら泥沼にハマって抜け出せなくなる可能性があるので、
自分に自信があるときに読むのがお勧めです。

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